少子高齢化が進む日本では、ブルーカラーからホワイトカラーまで、あらゆる産業で外国人材の活用が進んでいます。これまで人材供給の中心を担ってきたのはベトナムをはじめとする東南アジア諸国ですが、今、新たな注目を集めているのが「インド人材」です。
本記事では、特定技能・技能実習などのブルーカラー分野と、ソフトウェアエンジニアを中心とするホワイトカラー分野において、ベトナム人材とインド人材を比較しながら、なぜ今、インドに注目すべきなのかを解説します。
目次
ブルーカラー分野におけるベトナムとインド人材の比較
▷ベトナム人材:受け入れ数は安定も、今後の伸びは限定的
ベトナムは、日本における技能実習・特定技能人材の最大の供給国の一つです。日本語教育の整備、送り出し制度の成熟、地理的近さなどを背景に多くの企業が活用しています。
しかし近年、受け入れ数は横ばい状態で、急増していた時期と比較すると勢いに陰りが見えはじめています。さらに、現地での人件費上昇や、日本以外の国(韓国・台湾など)への就業シフトも進んでおり、供給力の伸びには限界が見えつつあります。
▷インド人材:制度整備と企業参入で拡大中
インドからの技能実習・特定技能人材はまだ数百人規模と少ない状況ですが、その理由は制度運用のスタートが遅かったことにあります。ただし現在、インド国内での日本語教育の強化、送り出し機関の整備が進み、介護事業を手掛ける大手企業の参入などにより、国としての送り出し体制が急速に整備中です。
特にインド政府は国家スキル開発公社(NSDC)を通じて、2027年以降、年10万人規模での海外就職支援を計画。日本は主要な受け入れ先の一つに位置づけられており、今後数年で急速な拡大が期待されるマーケットです。
ホワイトカラー分野(ソフトウェアエンジニア)の比較
▷ベトナム人材:日本語が強みも、技術分野での課題
ベトナムは日本から近く、オフショア開発の拠点として人気です。日本語教育が盛んで、日系企業との業務連携もしやすい一方、現地エンジニアの人件費上昇や、先端技術(AI、ブロックチェーン、IoTなど)の知見不足が課題として挙がっています。単純なWeb開発では活用しやすいものの、技術の深度が求められる領域では相対的に不利との指摘も増えています。
▷インド人材:世界基準のITスキルとグローバル経験
インドは世界最大級のIT人材供給国で、英語運用力が高いエンジニアが豊富です。欧米企業はオフショアだけでなくGCC(グローバル・キャパビリティ・センター)をインドに設置し、AI、クラウド、サイバーセキュリティ等の先端開発を推進。日本語人材は少数派ながら、英語で業務を行う日本企業の増加や、通訳を介した開発体制の進化で、活用余地は拡大しています。
日本企業の取り組み事例(メルカリ/ソニー/富士通)
① メルカリ|AI・検索技術の中核をインドへ
2023年にバンガロールに「Mercari India」を設立。単なる人材補完ではなく、AI・検索アルゴリズムなどの中核技術を現地で研究開発。IIT出身のトップ理系人材を採用し、グローバル視点の強化につなげています。
② ソニー|バンガロールで画像認識AIを研究
監視カメラ・医療画像など、画像認識AIの重要プロジェクトを現地チームがリード。補助業務にとどまらず、日本の将来を担う先端開発の一角をインドで推進しています。
③ 富士通|「インド=グローバル戦略の拠点」へ進化
2022年にハイデラバードで1,000人規模のR&D体制を整備。クラウド、サイバーセキュリティ、ソフトウェア開発などをグローバルと連携しながら推進し、インド拠点をフル活用しています。
まとめ:これからの人材戦略にインド人材をどう組み込むか
ベトナム人材は制度面・文化面で受け入れやすく、今後も重要なパートナーです。一方で、世界的な人材獲得競争が激化するなか、調達先を過去の延長だけで考えるのはリスクでもあります。英語力・人材規模・コスト面で優位性のあるインド人材を選択肢に加えることで、技術領域の高度化や開発スケールへの対応力を高められます。
Global Career Labのサポート
Global Career Labでは、日本でのインド人材採用も、インド拠点進出時の採用も支援します。採用戦略設計、大学連携・イベント、選考、ビザ、日本語教育、オンボーディング、現地立ち上げまで一気通貫で伴走します。これからの技術開発を共に進めるパートナーとして、まずはお気軽にご相談ください。