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インド人材の受け入れが注目される背景
近年、日本では少子高齢化と労働力不足が深刻化しており、特に介護・建設・製造・IT分野などでの人手不足がメディアでも取り上げられています。
2025年2月時点での職業別有効求人倍率は以下の通りです。
職業 | 有効求人倍率 |
---|---|
職業計(全体) | 1.27倍 |
土木の職業 | 7.06倍 |
介護サービス | 3.66倍 |
特に土木関連の職業では7.06倍と極めて高く、求人に対して求職者が圧倒的に不足していることが分かります。介護職種も3.66倍と高く、高齢化社会を支える人材の採用が困難な状況です。
*出典:ハローワーク情報サイト~ハロワのいろは~『職業別の有効求人倍率』(2025年4月時点)
これまで日本はベトナムや中国などから多くの技能実習生・特定技能人材を受け入れてきましたが、今、注目されているのが「インド人材」です.
日本の技能実習・特定技能制度の現状と将来ニーズ
技能実習制度には、2024年末時点で約42.6万人の外国人が在籍し、ベトナム・中国・インドネシアが大半を占めています。特定技能制度でも同年12月末時点で約28.4万人が在留し、介護・建設・製造分野での需要が急速に高まっています。
今後の少子高齢化・生産年齢人口の減少により、特定技能制度だけでも5年間で最大82万人の受け入れが政府により想定されています。特に介護・建設・製造の分野で、長期的・安定的な人材供給源の確保は企業の経営課題に直結します。
現状、インドからの受け入れはまだ少数で、技能実習では数百人、特定技能では434人(2024年時点)程度にとどまっています。しかし、インド人材のポテンシャルに注目が集まっています。
インド政府は国家スキル開発公社(NSDC)を中心に海外就労戦略を推進し、2027年以降は年10万人規模で介護・建設分野への送り出しを計画。中東・シンガポール・英国などへの実績に続き、日本市場への関心も急速に高まっています。
インド人材のメリットと課題
▷ メリット
- 高い技術力と英語力:IT・建設・医療など多分野で即戦力。
- 海外志向が強く、安定した供給源。
- 文化的に親しみやすい:家族志向・勤勉。
▷ 課題
- 日本語教育のハードル。
- 生活支援・異文化適応のサポートが必要。
- 技能実習制度そのものが見直し中で不透明感あり。
とはいえ、これらは制度と受け入れ体制の整備によって十分にカバー可能です。
なぜ今、日本は「インド人材」なのか?
インドは世界一の人口を持ち、若年層が豊富。海外就労志望者も年々増加し、政府レベルでも送り出し制度の整備が進んでいます。日本への印象も良好で、アニメ・自動車・日本文化の人気、観光客の増加、日本語学習者の伸長などが追い風となっています。
待遇・治安・社会保障のバランスで見ても日本は魅力的な就業地であり、実際に「日本は給料だけではない、国民性と治安がいい」という声も聞かれます。
世界各地で活躍する“インド人材”
- 在外インド系の規模は世界最大級
在外インド系の合計は3,500万人規模とされ、UAE・サウジなどの中東、米英加の欧米、シンガポール・マレーシアなどのアジア、アフリカ各国にも幅広く分布。国連統計でも世界最大のディアスポラと位置づけられています。 - 分野別の傾向
中東では建設・インフラ分野の需要が厚く、中東アラブ諸国で働くインド人の多くがブルーカラー職に従事。一方、欧米では看護・医療の国際採用でインド出身者の存在感が大きく、英国では毎年インド人看護職の新規登録が多数。アジアではIT・製造・サービスの受入が継続拡大しています。 - 介護ケア人材の広がり
英国・中東・一部アジアで介護・看護人材の採用が拡大。英語運用力と専門教育を背景に、病院・介護施設・在宅ケアまで多様な現場で活躍しています。
※上記は各国統計・在外インド系集計・国際機関資料等の公開値をもとにした概観で、地域・年によって変動します。
インドからの受け入れを増やすには?
企業・自治体・国が連携し、以下の取り組みがカギになります。
対策 | 内容 |
---|---|
日本語教育支援 | 現地での語学研修、オンライン講座の導入。 |
信頼できる送り出し機関の選定 | インド政府認定のNSDC・民間学校と連携。 |
就労後の生活支援 | 住居・医療・相談窓口の整備。 |
キャリアパスの提示 | 実習 → 特定技能 → 定住ビザへの明確なステップ設計。 |
日本語教育支援(入国前+入国後の二段構え)
オンライン+対面のブレンデッド学習で入国前に300–600時間を目安にN4→N3を狙い、到着後は業務用語(安全衛生・機材名・介護記録・品質用語など)を職種別語彙表で強化。現場ではバイリンガル掲示やピクトグラム、OJT指示の短文化・定型化で定着を促進。
就労後の生活支援(定着=採用の半分)
到着初週は役所手続き・銀行口座・SIM・保険まで同伴し、家具付き住居/通勤導線/食の選択肢を確保。稼働後は日本人メンター+同国バディの二重伴走、多言語相談窓口を導入。宗教・食習慣・祝祭日(ディワリ等)の配慮ガイドも有効です。
キャリアパスの提示(可視化された“次の一歩”)
「1–3年の技能習熟→評価→賃金テーブル→在留資格」をロードマップで図示。介護・建設・製造は技能評価合格→特定技能1号→2号のルート、IT等は技術・人文知識・国際業務や高度専門職への転換可能性を明示(法要件は専門家確認)。昇給条件・資格手当・役割期待を明文化し、N3→N2など語学ゴールと研修を紐づけ。
まとめ:インド人材は“未来の共働者”
インド人材は単なる「労働力」ではなく、日本の未来をともに支える共働者として大きな可能性を秘めています。人手不足に悩む企業こそ、今こそインドに目を向けるべきです。
制度・待遇・環境が整えば、高いスキルと熱意を持ったインド人材が日本に根づき、共に成長していく未来が実現できます。Global Career Labはインド人材の採用支援を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。