インド人材を採用すべき理由。世界最大の理系人材輩出国インドは、そのスケールとクオリティの両面で注目を集めています。
「国内でエンジニアが足りない」「採用してもなかなか育たない」——こうした課題を抱える日本企業は増加傾向にあります。特にIT、機械、電気、化学などの分野では、新卒・中途を問わず理系人材の確保が年々難しくなっています。そこで今、注目されているのが“インド人理系人材”。今回はその数と質を整理します。
目次
インド人材を採用すべき理由
インドは、世界でも有数の理系人材が多い国です。特にIT・エンジニア・サイエンス・マネジメント分野で、毎年数百万人規模の大卒人材を輩出しています。一方で、国内産業の受け皿が人材供給のスピードに追いつかず、優秀な若手が活躍の場を海外に求める傾向があります。日本企業にとっては、質の高い人材を獲得できる大きなチャンスです。
圧倒的な“数”に注目!年間150万人以上が理系学部を卒業
インドでは毎年、理工系(エンジニアリング、サイエンス、テクノロジー系)の卒業生が150万人以上とされ、世界最大規模です。日本は理系大卒が約10万人前後、中国は約120万人前後。インドでは工学系人気が高く、家庭の教育熱や海外志向の高さがSTEM教育の底上げにつながっています。
全国から優秀層が集まる工学部には、海外での活躍を志す学生も多く、卒業後に即戦力となるポテンシャルを備えています。
IITをはじめ、世界に誇る“質の高さ”も魅力
インド工科大学(IIT)は国内トップの理工系大学群で、ボンベイ/デリー/マドラスなど複数校が世界ランキング上位の常連です。入試は極めて難関で、合格率は数%と言われます。Googleのサンダー・ピチャイやMicrosoftのサティア・ナデラをはじめ、IIT出身者は世界で活躍しています。
IITを中心に、インキュベーション施設や共同研究センターを備え、産業界(例:IBM、Intel、Tata等)と結びついた実践的な教育が行われています。そのため、卒業直後から実務に強い/プロジェクト経験がある人材が育成されやすいのが特徴です。
国内ポジション不足と賃金水準が、“新卒の海外志向”を後押し
インドでは、大卒人材の供給に対して国内のポジションが十分に足りておらず、大卒層の失業・不完全就業が相対的に高止まりしています。とりわけ理工系の若手は能力を発揮できる職務が見つからず、就業までの待機期間が長引くケースも少なくありません。
さらに、大卒初任給の平均水準は国際比較で高くないため、スキルに見合う待遇を求めて新卒の段階から海外でのキャリアに前向きな学生が多いのが実情です。英語での業務遂行能力を備えた理系人材が多いことも、海外挑戦のハードルを下げています。
こうした背景から、日本企業が提供する「高度技術×安定した就労環境」は、インドの若手にとって極めて魅力的に映ります。入社後育成や日本語研修、明確なキャリアパスを提示できる企業ほど、優秀層からの関心を集めやすく、早期に戦力化できる可能性が高まります。
日本企業/外資系大手がインド理系人材に注目
近年のトレンドは、単なるコスト要因としてのオフショア開発から、先端R&Dの中核拠点としての活用へ。AI、クラウド、サイバーセキュリティなど高度領域をインドで推進し、日本・欧州・北米と並列に連動するグローバル体制を築く企業が増えています。
日本企業の取り組み事例(メルカリ/ソニー/富士通/楽天/マネーフォワード)
① メルカリ|AI・検索技術の中核をインドへ
2023年、バンガロールに「Mercari India」を設立。人材補完ではなく、AI・検索アルゴリズムなどの中核技術を現地で研究開発。IIT等のトップ人材を本社級待遇で採用し、グローバル視点を強化。
② ソニー|バンガロールで画像認識AIを研究
監視カメラや医療画像など、画像認識AIの重要プロジェクトを現地がリード。補助業務にとどまらず、日本の将来を担う先端開発の一角をインドで推進。
③ 富士通|「インド=グローバル戦略の拠点」へ進化
ハイデラバードでR&D体制を拡充。クラウド、サイバーセキュリティ、ソフトウェア開発をグローバルと連携しながら推進し、インド拠点をフル活用。
④ 楽天(Rakuten India)|グループ横断のグローバル技術中枢
ベンガルール等で、コマースやフィンテック、通信関連の基盤技術を横断的に開発・運用。採用と育成を継続し、グローバル開発のスピードとスケールを強化。
⑤ マネーフォワード|チェンナイに開発拠点
ベトナムに続く海外開発拠点として、インド・チェンナイで採用と体制づくりを進め、先端人材の獲得と開発力の底上げを図る。
外資系企業の取り組み事例(Walmart/Goldman Sachs/Bosch/JPMorgan/HSBC)
① Walmart Global Tech|ベンガルール+チェンナイでGCCを拡張
小売DXの中核として、AI/ML、クラウド、セキュリティなどを担う大規模テック組織をインドで継続拡大。複数都市でコア技術を開発する体制を整備。
② Goldman Sachs|ベンガルール/ハイデラバードのエンジニアリング中核
トレーディング、リスク、プラットフォームなどのテクノロジー領域を広くカバー。インド拠点は同社のグローバルでも中核的プレゼンスとして機能。
③ Bosch Global Software Technologies(BGSW)|“ソフト×組込”で2万3千名超
独ボッシュのソフトウェア会社BGSWは、インドで2万3千名超の開発体制を擁し、ボッシュのドイツ国外で最大のソフトウェア開発センター。センサー/ソフト/サービスを横断するエンドツーエンドの開発を、インド拠点から提供しています。
④ JPMorgan Chase|ハイデラバードにAPAC最大級キャンパス
同社はハイデラバードに82.2万平方フィートの新キャンパスを開設。APACで最大規模のキャンパスとして、テクノロジー/リスク/オペレーション等の中核機能を集約しています。
⑤ HSBC Technology India|ハイデラバード/プネの大規模Tech組織
HSBCのテクノロジー機能(HSDI/HSBC Technology India)はハイデラバードとプネを中心に展開し、7,500名超の人材でグローバルの設計・開発・運用を支えています。金融ソフトウェアからAI/セキュリティまで幅広い領域を担当。
Global Career Labでは、こうした動きを全力でサポート
私たちGlobal Career Labでは、日本でのインド人材採用も、インド拠点進出時の採用も支援します。技術開発を共に進めるパートナーとして、インド人材活用をご検討中の企業様は、ぜひ一度ご相談ください。